社会全体のCO2削減への貢献
基本的な考え方
当社グループが運営する駐車場事業とモビリティ事業は、循環経済型ビジネスの一端を担っており、土地や車両などの事業資本のシェアリングを通じて、経済価値と社会価値の双方を創出しています。当社グループは、循環経済型ビジネスモデルによる社会へのポジティブインパクトを明示するため、社会全体のCO2削減への貢献量(=削減貢献量)を定量化するとともに、各サービスと公共交通機関との連携など、削減貢献量を最大化するための施策を推進しています。
パーク24グループの各事業の削減貢献量の位置づけ
当社グループでは、LCA(=Life Cycle Assessment)の考え方をもとに、サービスに必要な車両や機器をはじめとした事業資本の製造および利用における削減貢献量の算定を進めています。現時点では、モビリティ事業の「製造」と駐車場事業の「利用」に関連する領域について算定が完了しています。

モビリティ事業による貢献
タイムズカー(モビリティサービス)を通じた社会全体のCO2削減貢献
タイムズカーは、個人または法人のお客様が保有する車両での移動を当社サービスの利用へ転換促進することで、社会やお客様企業のCO2排出量の削減に貢献しています。なお、貢献量の算定にあたっては、タイムズカーが「存在する場合」と「しない場合」を比較しています。
算定方法
タイムズカー会員の移動行動調査(※1)と利用実績データをもとに、レンタカーを除くタイムズカーの環境負荷低減効果を推計した結果、タイムズカー1台は、個々の保有車(※2) 16台分に相当する移動需要をまかなうことがわかりました(※3)。これを「保有車の移動需要分担効率」と定義し、車両の製造に係る排出量へ変換するための「変換係数」を乗じて、車両1台当たりの貢献量を算出します。その結果に当該期の調達車両数を乗じ、最終的なモビリティ事業全体での製造に関する貢献量としています。
- ※1 2021-2022年にパーク24グループがタイムズカー会員の入会前後の移動行動についての調査を実施したものです。
- ※2 保有車は個人で所有する車両および企業で保有する車両のいずれも含めています。
- ※3 移動行動調査でタイムズカー会員になるにあたり「保有車を手放した」「新規車両購入をやめた」という回答から推計しています。
算定式

- ※ 係数a・・・車両の製造によるCO2排出の削減に貢献しない会員属性の割引(2021年10月期に実施した移動行動調査をもとに割引率を算出)
- ※ 係数b・・・車両1台当たりの製造で発生するCO2:6.2tCO2(IEAデータ)
- ※ 係数c・・・ 一般車両(10年使用:IEAデータ)とタイムズカー車両(4年)の利用期間差の調整
算定結果と拡大方針
2024年10月期は、グループ事業全体の稼働が高まっていることから、Scope1-3排出量が前年同期から拡大しました。モビリティ事業の貢献量は、「車両1台当たりの貢献量」にカーシェアリングサービスにかかる車両調達台数を乗じて算出しますが、2024年10月期の車両調達台数が前年同期と同等の水準だったことから、貢献量も横ばいに推移しました。
なお当社グループは、Scope1-3排出量から事業を通じて実現した貢献量を差し引いたものをGHGインパクトと設定し、その最小化に努めていきます。

貢献量の算定における専門機関との連携
当社は、算定方法のさらなる精緻化と客観性の確保を目的に研究機関等との協働を図っています。モビリティ事業の貢献量の算定については、妥当性の検証のため交通エコロジー・モビリティ財団との意見交換(※)を実施しています。なお、複数の先行研究において、カーシェアリングサービスの普及は社会における車両台数の削減とそれに伴うCO2排出量の削減および希少資源の使用抑制に貢献するとされています。
※ 公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団 熊井博士(環境学)との意見交換を実施し、算定方法および結果に対する妥当性についてレビューしていただいています。
モビリティサービスの環境負荷低減効果
タイムズカーは、保有車での移動時に比べ1km移動距離あたりのCO2排出量が26%削減されます。(※1 ※2)

- ※1 タイムズカーの利用実績データをもとに推定した一般的な1トリップの移動距離分布と、移動行動調査から入会前後の移動方法の構成、移動距離、車種構成などの変化率を組み合わせたシミュレーションモデルを作成し、それをもとに推計しております。CO2排出量削減効果については、①クルマでの移動頻度・移動距離の削減、②パーク&ライドによる削減、③燃費改善による削減の3つの効果の総合値としております。
- ※2 上記データはタイムズカー会員の移動行動調査と利用実績をもとにタイムズカー利用の全体を推計しており、個々の利用における削減量を保証するものではありません。なお、上記データの推計はパーク24株式会社にて行っております。
駐車場事業による貢献
タイムズパーキング(駐車場サービス)を通じた社会全体のCO2削減貢献
タイムズパーキングは、パーク&ライドに伴う行動(以下、P&R行動)を通じて、社会のCO2排出量削減に貢献しています。当社は、タイムズクラブ会員様へのアンケートをもとに、P&R行動1回(往復)当たりの貢献量を算出したうえで、P&R行動をしやすい場所へ駐車場を展開することによる駐車場事業全体での貢献量を算出しました。
算定方法
タイムズクラブ会員様を対象に実施したアンケート調査(2024年10月期に実施)により、P&R利用者の移動モードや行動特性を把握しました。これらのデータをもとに、判定モデルと選択モデルを組み合わせた「CO2削減量算出モデル」を構築しました。さらに、タイムズパーキングのうちP&R対象となる駐車場の利用実績に本モデルを適用し、タイムズパーキングのシェア率を勘案することで、P&RによるCO2排出削減効果を定量的に算定しました。
算定式

算定結果と今後の方針
パーク&ライド行動によるタイムズパーキングの年間貢献量は28tCO2となりました。 (※算定期間:2024年1月1日~2024年12月31日)
今後も当社グループは、駐車場事業におけるその他の貢献量の算定を検討していきます。
関連するSDGs

