基本方針・戦略

会社経営の基本方針や中長期的な経営戦略、対処すべき課題についてご紹介します。

経営の基本方針

パーク24グループ(以下、当社グループ)は、グループ理念に「時代に応える、時代を先取る快適さを実現する。」を掲げております。日常に当たり前にある「快適さ」や、世の中になかった新しい「快適さ」を届けることで、そこに住み、そこに生きる人々や街、社会が、より豊かに、より魅力溢れるものになるよう挑戦を続けていくことで、お客様との相互理解を深め、人々に、時代に求められている「快適さ」を実現してまいります。同時に、環境課題や社会課題の解決に資する事業展開や取り組みを推進することで、社会の持続的発展に貢献してまいります。

当社グループが、時代に求められている「快適さ」を実現し、社会の持続的発展に貢献するためには、駐車場事業及びモビリティ事業の規模の拡大とサービスの進化・融合による高い成長性と収益性の確保が経営課題であると認識しております。そのため、最も重視する経営指標に経常利益成長率を掲げ、2桁成長の継続を目指しております。

また、当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に財務基盤が毀損しましたが、財務施策とその後の業績回復により、2024年10月期末時点において株主資本比率は30.1%と一定程度回復いたしました。引き続き、財務の健全化を図ることを経営の重要課題と認識しております。

なお、当社グループは、2024年12月に2025年10月期を初年度とする3カ年の「2027年10月期 中期経営計画」を公表しました。本計画の最終年度である2027年10月期の経営数値目標は、売上高4,740億円、営業利益445億円、経常利益420億円、親会社株主に帰属する当期純利益280億円です。

中長期的な会社の経営戦略

短期的な経営環境については、資源・エネルギー価格の高騰や世界的な物価上昇、各国の金融政策による急激な為替変動など、依然として先行き不透明な状況が継続すると見込んでおります。

中長期的な経営環境については、温暖化による気候変動、世界の人口増加や国ごとの人口構成変化による行動様式の変化、デジタル革命の進行、テクノロジーの急激な進化等が加速度的に進行していくものと考えております。

このようなマクロ環境認識のもと、当社グループにおけるリスクと機会を整理し、優先的に取り組む5つのマテリアリティ(重要課題)を特定しております。当社グループは、サステナビリティへの取り組みが社会全体及び当社の持続的な企業価値向上に貢献するものと考えております。今後も、国際基準に基づき、本業を通じた持続可能な社会の実現のため、5つのマテリアリティに資する取り組みを推進してまいります。

5つのマテリアリティ

  1. 1) 持続可能な地球環境への貢献
  2. 2) 安全なモビリティ・交通インフラサービスの提供
  3. 3) 快適な社会を実現するイノベーション
  4. 4) 企業成長に必要な多様な人財の活躍推進
  5. 5) 強固な経営基盤の確立

中長期的な事業戦略としては、2024年12月に公表の「2027年10月期 中期経営計画」のとおり、当社グループのグループ理念である「時代に応える、時代を先取る快適さを実現する。」のもと、交通インフラサービス企業としてさらに進化すべく、2035年中長期ビジョン「モビリティサービスプラットフォーマーへの進化」を掲げており、ビジョンの実現に向けて、当社グループが有する人(会員)・クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場の「4つのネットワークの拡大・進化・融合」を推進していきます。

4つのネットワークの拡大・進化・融合

「4つのネットワーク」のうち、1つ目の駐車場については、国内外ともに安定的に駐車場を開発することでネットワークの拡大に努めます。特に国内の駐車場は慢性的に不足していることから、需給ギャップが大きいため、駐車場の開発は十分にできる環境にあると認識しております。

そのため、国内においては、収益性の質を伴った厳選開発を維持しながらも開発件数の増加による自立的な拡大を図ります。さらには、他社ブランドの駐車場サービスに対して、オンライン管理システムTONICに蓄積されたデータと、駐車場機器・システムや運営に必要な管理メンテナンス、コールセンター対応といったネットワークサービスを提供するタイムズプラットフォームサービス(以下、TPL)の確立・展開により、ネットワークの拡大を加速してまいります。また、持続的な成長に際しては、サービス進化による収益性の向上及びお客様の利便性向上が不可欠であり、自社開発精算機タイムズタワーの設置や車番認証カメラを活用した駐車場の拡大を図ることで、より簡単に入出庫や精算が可能な次世代駐車場サービスの構築・展開を推進してまいります。

海外においては、国内の駐車場事業戦略である「小型・分散・ドミナント化」をベースに、各地域の駐車場需要環境に適した短期契約駐車場「各国版タイムズパーキング」の開発が重要となります。そのため、駐車場事業国内のリソースとノウハウの注入により開発体制を強化し、各国版タイムズパーキングの開発を加速させることで、大型かつ長期契約駐車場に偏った事業ポートフォリオを最適化し、事業リスクを低減させるとともに収益性の向上に努めてまいります。

2つ目のモビリティについては、カーシェアリングサービスとレンタカーサービスを融合したモビリティサービス「タイムズカー」の会員数・車両数・貸出拠点数の拡大を図ります。タイムズカーは、お客様が借りたい時間に、借りたい場所で、借りたいタイプのクルマを、借りたい期間だけ借りることができる便利なサービスであり、会員数・稼働ともに順調に伸長していることから、今後も引き続き大きく成長が可能なサービスであると認識しております。

3つ目のお客様の目的地となる街においては、キャッシュレス決済サービス「タイムズペイ」の加盟店数を増やすことで加盟店とお客様、両者の快適さを実現すると同時に、街(目的地)のネットワーク拡大を図ってまいります。

4つ目の会員においては、クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場、それぞれのサービスが拡大することで利便性が向上し、使いやすいサービスの提供により、法人・個人ともに会員規模の拡大を図ってまいります。

こうしたネットワークの拡大・進化に加えて、ネットワークの融合をキーワードに、各種サービスのスマートフォンアプリ機能の高度化・連携強化やTPLの確立・展開により、それぞれのサービスが相互に会員送客する基盤を構築することで、お客様の利便性向上を図るとともに、収益性の向上を目指してまいります。

これらの取り組みにより、当社グループは、世界各地で駐車場を含めたモビリティサービスを提供する企業として、収益性においてはもちろん、サービス面においても世界No.1の企業となるべく持続的成長を図るとともに、企業の社会的責任を果たすことで企業価値の向上に努め、全てのステークホルダーの信頼と期待に応えてまいります。

会社の対処すべき課題

当社グループは、グループ理念である「時代に応える、時代を先取る快適さを実現する。」のもと、交通インフラサービス企業としてさらに進化すべく、2035年中長期ビジョン「モビリティサービスプラットフォーマーへの進化」を掲げております。ビジョンの実現に際しては、以下を中長期的な会社の経営戦略に基づく対処すべき課題と認識しております。

① 4つのネットワークの拡大・進化・融合

2035年中長期ビジョン「モビリティサービスプラットフォーマーへの進化」の実現に向けては、「4つのネットワーク(人・クルマ・街・駐車場)の拡大・進化・融合」を推進することが重要であると認識しております。そのため、それぞれのネットワークにおける開発力やサービス提案力等、営業力の強化に加え、他社ブランドの駐車場・モビリティサービスに対して、オンライン管理システムTONICに蓄積されたデータと、運営に必要なネットワークサービスを提供する「タイムズプラットフォームサービス(TPL)」の確立・展開により、「拡大」を推進いたします。
また、「進化」「融合」については、積極的にデジタル投資を行うことで、各種サービスにおける設備の強化やスマートフォンアプリの高度化・連携強化に加え、4つのネットワークを一元的に管理する基盤・体制の構築により、ビジョン実現に向けた取り組みを推進してまいります。

② 安定したサービスの提供

当社グループは、駐車場サービス及びモビリティサービスは社会インフラとしての側面も持ち合わせていると考えていることから、各サービスを安定的に供給することが重要であると認識しております。そのため、各種サービスを一元的に管理できる基盤・体制の構築に加え、品質を維持するための厳格なルールを制定することで事業を推進しております。
さらに、当社グループは、システムを通じてお客様へのサービス提供を行っております。そのため、システムにおいては十分な設備投資並びに人財の育成・採用等を行うことで安定稼働に努めてまいります。

③ 駐車場事業海外における事業ポートフォリオの最適化

当社グループは、2017年にSECURE PARKING PTY LTDとNATIONAL CAR PARKS LIMITEDをグループ化し、現在は、英国、豪州、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、台湾で駐車場事業を展開しております。
長期的に駐車場事業海外が当社グループの成長を牽引するためには、事業基盤の整備と強化並びに事業ポートフォリオの最適化による収益性の改善と向上が喫緊の課題と認識しております。そのため、駐車場の管理及び運営体制の改善、新たな駐車場の開発等を強力に推進することで課題の解決に注力してまいります。駐車場の新規開発については、国内の駐車場事業戦略である「小型・分散・ドミナント化」をベースに、各地域の駐車場需要環境に適した短期契約駐車場「各国版タイムズパーキング」の開発を促進することで、大型かつ長期契約駐車場に偏った事業ポートフォリオの最適化を図り、事業リスクを低減させるとともに収益性の向上に努めてまいります。

④ 財務の健全性強化

当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に財務基盤が毀損しましたが、財務施策とその後の業績回復により、2024年10月期末時点において株主資本比率は30.1%と一定程度回復いたしました。引き続き、財務の健全化を図ることを経営の重要課題と認識しております。

⑤ 環境課題への対応

気候変動への対応がグローバルに求められる経営環境の中、当社グループが運営する駐車場事業及びモビリティ事業は、電気自動車(以下、EV)及びEV充電器の主要な提供元のひとつとして注目を集めています。駐車場事業においては、EVの普及動向に注視しながら、駐車場へのEV充電器の設置を推進し、モビリティ事業におきましても、同様にEVの普及動向に注視しながら、モビリティサービスへの電動車(EV・HV)導入を推進してまいります。
また、当社は、2021年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明いたしました。今後も国際的なガイドラインや規格に沿って、CO2排出量等の環境に関する情報開示の質と量を充実させていくとともに、大きく変化する市場及び社会環境を見定めながら、事業と連動した具体的な取り組みを推進することで、「循環経済型ビジネス」を担う交通インフラサービス企業として、環境負荷低減に貢献してまいります。

⑥ 多様な人財育成と働きがいのある環境の創出

当社グループは、従業員がお客様へ提供するサービス価値の多くを生み出しており、その持続的発展のためには、人財の育成と採用及び働きがいのある環境の創出が不可欠と考えております。商品やサービスが厳しく選別される時代において、従業員は企業の競争優位性を決定づける大切な経営資本であることから、人財ビジョンに「持てる個性を最大限発揮し、期待される役割を十二分に果たすとともに自らの能力を持続的に高める人財」を掲げ、多様性を尊重した人財育成及び採用に努めております。

⑦ 健康経営の推進

当社グループは、幅広い年代の従業員が心身ともに健康に活躍できる労働環境を整備するために「健康経営宣言」を表明しております。従業員とその家族の健康保持増進が当社グループにおける経営戦略上の重要課題であると考え、健康経営の視点を取り入れることで、従業員が心身の健康づくりに主体的・積極的に取り組める環境を提供し、パフォーマンスの高い活性化された組織を作っていくことを目指しております。

⑧ コーポレート・ガバナンスの強化

当社グループの持続的成長による企業価値の向上を実現するためには、経営基盤強化としてコーポレート・ガバナンスの強化が重要と考えております。そのため、的確かつ迅速な意思決定及び業務執行体制並びに適正な監督・監視体制の構築を図っております。また、経営の健全性、公正性の観点から、コーポレート・ガバナンスの実効性を一層強化するため、当社グループ全体で、リスク管理、内部統制、コンプライアンスへの取り組みを徹底することで自浄能力の向上に努め、全てのステークホルダーからの信頼の向上につなげてまいります。