基本方針・戦略

会社経営の基本方針や中長期的な経営戦略、対処すべき課題についてご紹介します。

経営の基本方針

パーク24グループ(以下、当社グループ)は、グループ理念に「時代に応える、時代を先取る快適さを実現する。」を掲げております。日常に当たり前にある「快適さ」や、世の中になかった新しい「快適さ」を届けることで、そこに住み、そこに生きる人々や街、社会が、より豊かに、より魅力溢れるものになるよう挑戦を続けていくことで、お客様との相互理解を深め、人々に、時代に求められている「快適さ」を実現してまいります。同時に、環境課題や社会課題の解決に資する事業展開や取り組みを推進することで、社会の持続的発展に貢献してまいります。

当社グループが、時代に求められている「快適さ」を実現し、社会の持続的発展に貢献するためには、駐車場事業及びモビリティ事業の規模の拡大とサービスの拡充・進化が重要であることから、高い成長性と収益性の確保が経営課題であると認識しております。そのため、最も重視する経営指標に経常利益成長率を掲げ、2桁成長の継続を目指しております。

また、当社グループは、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)の影響を大きく受けたことにより2020年10月期から2期連続で当期純損失を計上し、株主資本比率は大きく棄損しました。これを受けて、2022年4月12日に海外募集による新株式を発行、2022年10月期に3期ぶりに黒字化を達成し、2023年10月期も着実に利益を積み上げてきたことで、株主資本比率は一定の水準まで回復しております。引き続き、財務の健全性を図ることが経営の重要課題と認識し、財務指標として2025年10月期末に株主資本比率30%を目標としております。

中長期的な会社の経営戦略

短期的な経営環境については、感染症の影響が緩やかとなり、経済活動の持ち直しの動きがみられる一方で、資源・エネルギー価格の高騰や世界的な物価上昇、各国の金融政策による急激な為替変動など、依然として先行き不透明な状況が継続すると見込んでおります。

中長期的な経営環境については、温暖化による気候変動、世界の人口増加や国ごとの人口構成変化による行動様式の変化、デジタル革命の進行、テクノロジーの急激な進化等が加速度的に進行していくものと考えております。

このようなマクロ環境認識のもと、当社グループにおけるリスクと機会を整理し、優先的に取り組む5つのマテリアリティ(重要課題)を特定しております。当社グループは、サステナビリティへの取り組みが社会全体及び当社の持続的な企業価値向上に貢献するものと考えております。今後も、国際基準に基づき、本業を通じた持続可能な社会の実現のため、5つのマテリアリティに資する取り組みを推進してまいります。

5つのマテリアリティ

  1. 1)持続可能な地球環境への貢献
  2. 2)安全なモビリティ・交通インフラサービスの提供
  3. 3)快適な社会を実現するイノベーション
  4. 4)企業成長に必要な多様な人財の活躍推進
  5. 5)強固な経営基盤の確立

中期的な事業戦略の軸としては、当社グループが有する人(会員)・クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場の「4つのネットワークの拡大とシームレス化」を推進していきます。

4つのネットワークの拡大とシームレス化

「4つのネットワーク」のうち、1つ目の駐車場については、国内外ともに安定的に駐車場を開発することでネットワークの拡大を図ります。特に国内の駐車場は慢性的に不足しており、需給ギャップが大きいため、駐車場の開発は十分にできる環境にあると認識しております。また、お客様の利便性の向上に向けて、駐車場の入出庫や支払いがストレスなくスムーズにできる次世代駐車場サービスの開発にも取り組んでおります。海外においては、英国、豪州、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、台湾で駐車場事業を展開しており、各地域ともに国内同様、駐車場ネットワークの拡大と駐車場サービスの開発に努めております。海外事業の中核となる英国、豪州においては、国内の駐車場事業戦略である「小型・分散・ドミナント化」をベースに各地域の駐車場需要環境に適した短期契約駐車場の開発を促進することで、大型かつ長期契約駐車場に偏った事業ポートフォリオを最適化し、事業リスクを低減させるとともに収益性の向上に努めてまいります。

2つ目のモビリティについては、カーシェアリングサービスとレンタカーサービスを融合した新しいモビリティサービス「タイムズカー」の車両数・貸出拠点数の拡大を図ります。タイムズカーは、お客様が借りたい時間に、借りたい場所で、借りたいタイプのクルマを、借りたい期間だけ借りることができる便利なサービスであるため、会員数・稼働ともに順調に伸長しており、今後も引き続き大きく成長が可能なサービスであると認識しております。

3つ目のお客様の目的地となる街においては、キャッシュレス決済サービス「タイムズペイ」の加盟店数を増やすことで加盟店とお客様、両者の快適さを実現すると同時に、街(目的地)のネットワーク拡大を図ってまいります。

4つ目の会員においては、クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場、それぞれのサービスが拡大することで利便性が向上し、使いやすいサービスの提供により、法人・個人ともに会員規模の拡大を図ってまいります。

「シームレス化」においては、デジタル投資によるグループサービス利便性の向上のため、各種サービスのスマートフォンアプリ機能の高度化や連携強化によるお客様の利便性向上、時間貸しや予約貸し、月極、タイムズカー配備等、スペースの最適化を図ることで駐車場の収益性の向上、また業務プロセスなど事業基盤の刷新によるコスト削減及び効率化を推進してまいります。

シームレス化のためのデジタル投資

「① 利用者戦略」「② サービス提供刷新」「③ 管理基盤の再構築」を推進

これらの取り組みにより、中期的な目標として国内駐車場100万台、タイムズカー10万台、タイムズクラブ会員1,000万人(2023年1月に達成)を掲げております。

当社グループは、世界各地で駐車場を含めたモビリティサービスを提供する企業として、収益性においてはもちろん、サービス面においても世界No.1の企業となるべく持続的成長を図るとともに、企業の社会的責任を果たすことで企業価値の向上に努め、全てのステークホルダーの信頼と期待に応えてまいります。

会社の対処すべき課題

当社グループの理念である「時代に応える、時代を先取る快適さを実現する。」に向けた成長を加速するため、以下を中長期的な会社の経営戦略に基づく対処すべき課題と認識しております。

① 環境課題への対応

気候変動への対応がグローバルに求められる経営環境の中、当社グループが運営する駐車場事業及びモビリティ事業は、電気自動車(以下、EV)及びEV充電器の主要な提供元のひとつとして注目を集めています。駐車場事業においては、EVの普及動向に注視しながら、駐車場へのEV充電器の設置を推進し、モビリティ事業におきましても、同様にEVの普及動向に注視しながら、モビリティサービスへの導入を推進してまいります。
また、当社は、2021年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同を表明し、気候変動問題に関する情報開示の質と量の充実を図っております。今後も、大きく変化する市場及び社会環境を見定めながら、具体的な取り組みを推進することで、環境負荷低減に貢献してまいります。

② 安定したサービスの提供

当社グループは、駐車場サービス及びモビリティサービスは社会インフラとしての側面も持ち合わせていると認識しております。そのため、各サービスが安定的に供給できるよう、グループで一元管理できる運用体制の構築に加え、品質を維持するための厳格なルールを制定して事業を推進しております。
さらに、当社グループは、システムを通じてお客様へのサービス提供を行っております。そのため、システムにおいては十分な設備投資並びに人財の育成・採用等を行うことで安定稼働に努めてまいります。

③ 4つのネットワークの拡大

当社グループは、4つのネットワークである「人(会員)・クルマ(モビリティ)・街(目的地)・駐車場」それぞれの規模を拡大することで、お客様により快適に当社グループのサービスをご利用いただく環境を構築してまいります。そのため、それぞれのネットワークにおける開発力やサービス提案力等、営業力の強化に加え、事業データ分析やデータマーケティング等においてICTの活用も推進してまいります。

④ グローバルな事業展開

当社グループは、2006年にアジア、2017年にM&Aによってオセアニアと欧州に駐車場事業を拡大いたしました。2017年にグループ化したSECURE PARKING PTY LTDとNATIONAL CAR PARKS LIMITEDにおいては、グループ理念の浸透を推進し、持続的成長に向けた意識の共有を図ってまいります。
さらに、事業基盤の整備と強化並びに事業拡大による収益性の改善と向上が喫緊の課題と認識しております。そのため、駐車場の管理及び運営体制の改善、新しいサービスの展開による新規マーケットへの参入等を強力に推進することで課題の解決に注力してまいります。また、国内の駐車場事業戦略である「小型・分散・ドミナント化」をベースに各地域の駐車場需要環境に適した短期契約駐車場の開発を促進することで、大型かつ長期契約駐車場に偏った事業ポートフォリオの最適化を図り、事業リスクを低減させるとともに収益性の向上に努めてまいります。

⑤ シームレス化

当社グループは、事業資産を有機的につなげることで、新しい価値を創造すると同時に、お客様に当社グループのサービスをより簡単に、便利にご利用いただく快適な環境を提供してまいります。そのため、シームレス化においては、デジタル投資を強化することで、各種サービスのスマートフォンアプリ機能の高度化や連携強化によるお客様の利便性向上、時間貸しや予約貸し、月極、タイムズカー配備等、スペースの最適化を図ることで駐車場の収益性の向上、また業務プロセスなど事業基盤の刷新によるコスト削減及び効率化を推進してまいります。

⑥ 多様な人財育成と働きがいのある環境の創出

当社グループは、従業員がお客様へ提供するサービス価値の多くを生み出しており、その持続的発展のためには、人財の育成と採用及び働きがいのある環境の創出が不可欠と考えております。商品やサービスが厳しく選別される時代において、従業員は企業の競争優位性を決定づける大切な経営資本であることから、人財ビジョンに「持てる個性を最大限発揮し、期待される役割を十二分に果たすとともに自らの能力を持続的に高める人財」を掲げ、多様性を尊重した人財育成及び採用に努めております。

⑦ 健康経営の推進

当社グループは、幅広い年代の従業員が心身ともに健康に活躍できる労働環境を整備するために「健康経営宣言」を表明しております。従業員とその家族の健康保持増進が当社グループにおける経営戦略上の重要課題であると考え、健康経営の視点を取り入れることで、従業員が心身の健康づくりに主体的・積極的に取り組める環境を提供し、パフォーマンスの高い活性化された組織を作っていくことを目指しております。

⑧ 財務の健全性強化

当社グループは、感染症の影響を大きく受けたことにより2020年10月期から2期連続で当期純損失を計上しました。これに対し、感染症の収束を見据えた成長投資のための長期性資金を確保すると同時に、財務の健全性を維持・向上させることを目的に、劣後特約付シンジケートローンによる資金調達を2020年12月30日に実行いたしました。また、2022年4月12日に海外募集による新株式を発行、2022年10月期に3期ぶりに黒字化を達成し、2023年10月期も着実に利益を積み上げてきたことで、株主資本比率は一定の水準まで回復しております。引き続き、財務の健全性を図ることが経営の重要課題と認識し、財務指標として2025年10月期末に株主資本比率30%を目標としております。

⑨ コーポレート・ガバナンスの強化

当社グループの持続的成長による企業価値の向上を実現するためには、経営基盤強化としてコーポレート・ガバナンスの強化が重要と考えております。そのため、的確かつ迅速な意思決定及び業務執行体制並びに適正な監督・監視体制の構築を図っております。また、経営の健全性、公正性の観点から、コーポレート・ガバナンスの実効性を一層強化するため、当社グループ全体で、リスク管理、内部統制、コンプライアンスへの取り組みを徹底することで自浄能力の向上に努め、全てのステークホルダーからの信頼の向上につなげてまいります。